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人とAIがともに育つ:SMPアソシエ株式会社様

SMPアソシエ株式会社様は、2019年からCIOMS翻訳サービスをご利用いただき、現在ではAIKO SciLingualも導入いただいています。「アソシエ」はフランス語で「パートナー、仲間」の意味です。ASCAもクライアント様のパートナー的存在でありたいと考えており、勝手ながら共通点があると感じています。

CIOMSフォーム作成業務では、限られた時間の中で迅速かつ正確な情報の報告が求められます。そこで今回は、AIソリューションを含む弊社のサービスをご利用いただいているSMPアソシエ様にお話を伺いたいと思います。
インタビューにお答えくださったのは、安全性情報部の丸尾様と木下様です。


CIOMS翻訳について

まずはCIOMS翻訳を弊社へご依頼いただいた背景を教えてください。

木下様
当時、弊社の社内翻訳スタッフは3人体制で、そのうち1人は新人でした。そうした状態で、海外からの報告量が増えることになり、どうしたものかと思案していたところに、ASCAさんからタイミングよく提案がありました。リーズナブルな価格で翌日納品に対応していただけることが決め手となって、契約しました。

ASCAにご依頼いただいてどういった変化がありましたか。

木下様
以前は翻訳をメインにしていましたが、「翻訳から開始するプロセス」と、「翻訳いただいたものをチェックするプロセス」の2段階体制になりました。
海外の提携会社との対応件数が増えてきており、そのための時間を捻出したいと思っていたので、翻訳担当者の手が空くこのような2段階体制は非常にありがたいことでした。
ずっと以前に機械翻訳を導入しようと試みたこともありましたが、機械に学習させるためにフィードバックが必要でした。例えば、“May 1st”が「1番であろう」と翻訳されるので(正しくは5月1日)、日付の表記を単語リストに登録するといった内容です。ただ、すべてのパターンを登録することはできず(登録してもそれ以外の表記だとうまく翻訳されない)、半年で断念しました。

SMPアソシエ株式会社 安全性情報部 木下 信一 様

木下様
また、それまでは1件1件業者さんに依頼していたのですが、これだと毎回納期や値段の交渉をする必要があり、これも大変な手間でした。「面倒だから依頼したくない」→「自分たちで対応する」→「結局人手が必要になる」という状況でした。
ASCAさんに依頼するようになって、事前に合意した料金で24時間後に納品され、ファイル授受システムが用意されているので都度暗号化する必要もない、これは便利だなと感心しました。

丸尾様:
わたしは他部署から来ましたが、この仕組みは省力化・効率化されていて、とても面白いシステムだと思いました。

AIKO SciLingualについて

AIKO SciLingualをご契約いただいていますが、その背景を教えていただけますか。

木下様:
CIOMS翻訳業務はすべてを外注しているわけではなく、定型から外れるものや納期が短いものは社内で対応していますが、そうした社内での使用がメインの目的です。
ちょうど仕事量が大きく増えたときでもあったので、「使えるものは使おう」という感じで、すぐAIKOの導入を決めました。

AIKO SciLingualをどのような時に使用されていますか?

木下様:
個人としては、海外とのやりとり・文献タイトルなどをさっとAIKOで訳してから、自分で修正する、といった感じで使用しています。自分では考えつかないような訳文が出てくることもあり、小さな業務でさっと使えるので、非常に便利です。人によっては、訳文の確認(いわゆる逆翻訳)に使っているようです。

丸尾様:
翻訳に使用する定型文や用語をすべてAIKOに登録してあるので、これまでのいろいろなファイルやメモから引っ張ってくる作業が減った分、楽になったと聞いています。日々の業務はもちろんですが、業務の引き継ぎにも役立つと思います。
また、登録されたフレーズや用語集から引用してくるので、成果物に統一感が出る点がとても良いと思っています。

全般的なところで感じられる変化はありますか?

木下様:
無料モニター期間中にフレーズ登録を行い、MedDRAも取り込むことによって、個人単位で管理していた情報が部内全体で共有できるようになり、「翻訳のゆれ」を解消することができました。
翻訳という作業は、自分以外の人の訳文を見ることがとても勉強になるので、新人教育にもプラスになっています。翻訳はできないが英文のチェックは可能というメンバーにもチェック作業を分担することができるようになり、初報なら取り扱える人が増えましたし、互いにフォローしあって仕事の分担もできるようになりました。
以前は3人の翻訳者で、翻訳もチェックもしていましたが、ASCAさんに翻訳を依頼したり、AIKOを導入したりしたことで、今は翻訳も行うメンバーが4人、チェックメインのメンバーが5人の体制です。AIKOを使うことで、翻訳が均一化され、人材も育っているので本当に助かっています。

今後の要望について

御社内の、AI技術(例:AIツール、マクロ等)の導入事例や、今後AI技術で解決したいことがあれば教えてください。

木下様:
ChatGPTに該当するようなシステムを、現在社内で実験中です。講演内容(スライド資料)をまとめるという仕事がAIでできないかと考えています。例えば、学会などで先生がご講演された内容から、報告者や患者の情報、併用薬、副作用などを抜き出して、項目ごとに分類し、それをひとつのフォームにまとめる、という業務がありますが、今は人が講演のスライド資料を見ながら行っています。項目にしたがって分類し、さらにNarrativeパートにある事実と医師見解を切り分け、時系列が前後している場合には正しく並び替えるといったところまでできるようであれば、ぜひ使用したいです。さらに、大きな矛盾や誤りを指摘してくれるような機能があると助かります。

丸尾様:
AIではないですが、期限管理や件数管理などにはツールを使用しています。先日、「効果的なプロンプトの書き方」をテーマとしたChatGPTのセミナーで、「短文で命令形を使うとよい」というお話があったのですが、「なるほど!5歳児と思ってやればいいのね!」と思いながら聞きました。

SMPアソシエ株式会社 安全性情報部 丸尾 浩子 様

弊社のサービスや全般的な対応について、ご意見やご要望があれば教えてください。

木下様:
月に1回のミーティングが役立っています。当初は、どのようにフィードバックをすればよいか迷いがありました。解釈の問題もあれば誤訳の問題もあるので、それらをひとくくりにしてファイルを渡してもうまく伝えられないと感じていましたが、これが定期ミーティングの実施によって解消されました。依頼分量が増えると、小さな修正箇所一つ一つを全てフィードバックすることは難しく、フィードバックできないまま溜まってしまっていました。それが月に1回ミーティングを行うようになり、特に気になった箇所のみをまとめてフィードバックするという方法に変わり、本当に必要なものだけを適切にフィードバックすることができるようになったように思います。

丸尾様:
ASCAさんは、翻訳会社でありながら機械翻訳エンジンそのものを販売する、とてもユニークな会社だと思います。
AIを利用して空いた時間を、翻訳者さんたちが自己啓発に使って、今度はそれを仕事に還元していただけたら良いですね。AI技術も使われてこそ育っていくものなので、人とAIがともに育っていければと思います。
互いに求めているものがわかり合える会社同士でありたいと思っており、成果物を納品いただくのはもちろんなのですが、それ以外の関係性もさらに継続していけることを今後も期待しています。


定期ミーティングは私たちASCAにとっても、仕事の内容を振り返るよい機会になっています。また、ASCAではITに力を入れつつ、パートナーである翻訳者を大事にすることも両立させたいと思っています。さまざまな情報を絶えずキャッチアップしつつ、お客様とも意見をすりあわせながら、ニーズにお応えしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

聞き手:
株式会社アスカコーポレーション ソリューション事業部
シニアプロジェクトマネージャー 福味 知嘉子
プロジェクトコーディネーター 塩谷 美奈穂 


SMPアソシエ株式会社様について

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