今年のノーベル平和賞は「ノーモア・ヒバクシャ」の被団協に
今年のノーベル平和賞は、被爆者の立場から核兵器廃絶を訴えてきた日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が受賞した。
平和賞だけはスウェーデンでなくノルウェー政府のノーベル平和委員会が決めるそうであるが、核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が2度と使用されてはならないことを証言によって示してきたことが評価された。
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ(No more Hiroshima, No more Nagasaki, No more Hibakusha, No more any war)という祈りのメッセージが世界に届いたのだ。
広島には私の主人の多くの親戚が住んでいて、多くの悲しい話を聞き、お墓に刻まれた名前や仏壇の多くの位牌を見ては心が痛む。
その日だけで7万人、年内には14万人、その後35万人以上もの尊い命が広島だけで奪われたのだから破壊力は計り知れない。
日本被団協は、決して相手を責めるわけではない。同じ苦しみがあってはいけない、とだけ強く訴えている。この姿勢にこそ敬意を払いたい。今も、ロシア、アメリカ、中国、フランス、イギリス、インド、パキスタン、イスラエル、 北朝鮮9か国、推定1万2100発もの核弾道を保有しているが、長崎以降の投下はどこも行っていない。彼らの活動が制止に働いていると信じたいし、平和賞に値する。
原爆はアインシュタインが発明したと知ると科学が怖くなる。彼は武器として使われるとは思っていなかったので、晩年、自身の科学的創造がもたらした致命的な結果に苦しみつつ、全世界で核兵器を禁止するようにと激しく主張するようになったという。科学が武器に使われることは絶対あってはならない。
今年のノーベル物理賞や化学賞ではAIが受賞した。私たちの生活を大きく変えるこのすばらしい研究や技術を世界平和と進化に役立ててほしい。そのためにも、人間が持つ、道徳を信じたい。