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英語論文作成のためのAI翻訳ツールの活用:AIに頼っていいこと、いけないこと

2023年1月11日、第2回AAMTセミナー「理⼯系の英語論⽂執筆における課題とAI⾃動翻訳ツールの活⽤」というタイトルで、タシケント工科大学 副学長の西山聖久先生によるセミナーが開催された。AAMT理事、セミナー委員として2回目の企画である。昨年「理⼯系のAI英作⽂術 誰でも簡単に正確な英⽂が書ける」という実用書を化学同人から出版されていて、とても分かりやすく説明されているので講師をお願いした。

MT(機械翻訳)を英語の論文作成に使うことは目新しいことではないが、出来ること、出来ないことを見極め、論理的、効果的に説明できるのが西山先生である。名古屋大学で留学生のケアや国際化、論文指導を長年携わり、今はウズベキスタンにあるタシケント工科大学で教育改革にいそしんでおられるというからただものではない。

そもそも日本人が英語論文を書かないのは、英語が苦手ではなく、周りの人に相談しすぎて混沌とし、収拾がつかなくなってしまうのではないか、まずはアウトラインの共有が重要である、と。そのために、VE(価値⼯学:Value Engineering)、TRIZ(発明的問題解決⼿法)による問題解決の⼿順を取り入れた論文アブストラクトライティングのテンプレートも紹介下さった。テンプレートで組み立ててから、チーム、先生などと合意すれば後は英語化するだけである。

英語で重要なのは3C。3C(Clear:明確、Correct:正しい、Concise:簡潔)の実現のためには、(1)誤りが無い英⽂を書く、(2)出来るだけ少ない語数にする、(3)名詞を意識して扱う、など。根拠のある英文を考えていくだけで英語力も上がる。

そもそもMTから出力される英語は3Cを意識している。
能動態(SVOの⽂型)を使うし、少ない語数で組み立ててくれる。
It…to…、It…that…構⽂はめったに使わないし、There is…、there are…、If …や when…もあまり使わない、のだと。事例はGoogle翻訳からの資料ではあったが、他のエンジンも同様だそう。
MTを使えば、カタカナ英語も正しく訳してくれるし、語数も少ないし、名詞を効果的に使ってくれるから、今やMTを使うしかない。

一方、AI⾃動翻訳はかなり有能ではあるが、以下についてはAI⾃動翻訳に頼ってはいけない、と。(1) 名詞の扱い⽅の⼀貫性、(2) 能動態、受動態のどちらにするかの判断、(3) ⻑い⽂章の英訳、(4) 専⾨家としてのあなたのこだわり、とか。頼ること、自分で考えること、判断することが活用のポイントだ。

実践パートでは、大学の入試問題の実例も交えながら、わかりやすく、とても説得力がある内容だった。
是非先生の本、「理⼯系のAI英作⽂術 誰でも簡単に正確な英⽂が書ける」を読んでみてほしい。

今回は理系の英語論文作成の話ではあったが、AI翻訳の活用は、どの領域でも共通している。次回は3月、IRの英語化についてである。
第3回AAMTセミナー「海外投資家を引き付ける英文IR コストや時間をかけない自動翻訳の活用~日本語のみの開示で公平・公正・適時という開示の原則に沿っていると言えるか~」

IRこそ、時間との勝負である。
時間とコスト削減を実現している、IR現場のエキスパートが登場する。
活用の知恵を是非聞いてみたい。

https://www.aamt.info/event/seminar/20230309

AAMT https://www.aamt.info/
AAMTセミナー https://www.aamt.info/event/seminar
第2回AAMTセミナーhttps://www.aamt.info/event/seminar/20230111
医薬文書に特化したAI翻訳エンジンAiko Scilingual 

(石岡映子)