アマテラス粒子の研究が「大阪科学賞」を受賞:失敗を恐れずに挑戦し、可能な限り大きな課題に立ち向かっての成果
大阪公立大学 大学院理学研究科 物理学専攻の藤井 俊博准教授が、「第42回大阪科学賞」を受賞された。21世紀の新たな発展と明日の人類社会に貢献する研究として、今回の「極高エネルギー宇宙線の観測的研究」が選ばれた。
大阪科学賞は、大阪府・市および一般財団法人大阪科学技術センターが1983年に創設された賞で、近畿地方のさまざまな分野の科学技術の研究・開発に貢献された50歳以下の研究者に授与される。なんと藤井先生は最年少受賞。第2回目(1984年)は本庶佑先生が、2007年にはiPSの山中伸弥先生が受賞。山中先生はこの受賞の後、CellやScienceにiPS論文を掲載され、二人ともノーベル賞にもつながったのだから選ぶ目に狂いはない。
大阪公立大学のプレス記事の中で、地球最大の粒子加速器で到達できるエネルギーより1000万倍以上も大きい10の20乗電子ボルトを超えるエネルギーをもつ「極高エネルギー宇宙線」が到来していることが明らかになり、その起源および加速機構についての観測的研究が進んでいると。
宇宙空間から地球に降ってきた極めて高いエネルギーを持つ1個の粒子の観測に成功されたのが成果であるが、この粒子の発生源については、これまでの研究では明らかになっていないらしい。この観測結果をまとめた論文が科学誌Scienceに掲載されている。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo5095
今年の4月、第39回Science Caféで先生にご講演をいただいた。
タイトルは「史上最強級のエネルギーをもつ宇宙線「アマテラス粒子」検出の軌跡 - もっとも高いエネルギーの粒子を掴まえる ―」。
この粒子は、日本の国造りを助けたとされる天照大御神にちなみ「アマテラス粒子」と命名されたという。1991年に検出された「オーマイゴッド粒子」に次いで、観測史上2番目に高いエネルギーを持つ宇宙線である。
藤井先生がCaféの最後におっしゃった言葉を紹介したい。
「何よりも自分が楽しいと思うことを、まずは精一杯やること。それが後で役に立つかどうかということは考えずに、とにかく今楽しいと思うことをとことんやってください。」と。
講演で心に残ったメッセージを「Science Café講演記」(次の世代の科学者たちへ)として発信している。是非他のメッセージも読んでみてほしい。心に響くはず。
藤井先生たちの更なる活躍を期待したい。ノーベル賞につながるかも。