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Breakthrough of the Year 2023:肥満を治療するGLP-1受容体作動薬の開発

年末恒例、Scienceの2023年のBreakthrough of the Year(Scienceが選ぶ、最も画期的な研究と成果)が発表された。トップは、Obesity meets its match: Blockbuster weight loss drugs show promise for a wider range of health benefits(肥満、その対抗手段 大ヒットの減量薬が、より広範な健康効果を約束する)。

記事によると、肥満は個人の闘いと公衆衛生の危機として展開される。米国では約70%の成人が過体重に影響を受けており、欧州でも半数以上が影響を受けている。肥満に対する偏見は圧倒的で、そのリスクは命に関わるものであり、体格指数が少なくとも30で定義される肥満は、2型糖尿病、心臓病、関節炎、脂肪肝病、特定のがんを引き起こすと考えられている。
しかしながら、肥満治療のための薬物は過去に悲惨な結果をもたらしてきた。これは、体重を減らすための社会的圧力と、過体重は意志力の弱さを反映しているという広範な信念とが絡み合っている。1940年代から女性に対して市場投入されたアンフェタミンと利尿剤が詰まった「レインボーダイエットピル」から、心臓や肺の病状を引き起こした1990年代のフェンフェンの興隆と衰退まで、安全で成功した減量薬を見つけるための歴史は失敗を繰り返してきた。なので、今回開発された「GLP-1アゴニスト」は肥満関連の健康問題に有望である、と。薬剤を開発したノボノルディスク社の市場価値は、本社があるデンマークのGDPを超えるとも。イーライリリー社の新しい薬剤も注目されている。
肥満は意志の弱さではなく生活習慣病として治療できるし、ほかの疾患の治療に応用が可能だというから、画期的な薬剤である。今回のトップに選ばれるにふさわしい。

その他、
・Earth’s carbon pump is slowing(地球の重要な炭素ポンプが減速している)、
・Hunt for natural hydrogen heats up(地表下の天然水素源の発見)
・The AI weather forecaster arrives (AIを活用した天気予報の開発)
・New hope against malaria(新しいマラリアワクチン)
・At last, modest headway against Alzheimer’s(アルツハイマー病患者の脳の神経変性を遅らせる可能性がある抗体療法の進歩)
・Early peopling of the Americas steps closer to acceptance(ニューメキシコ州の古代湖で発見された人類の足跡が非常に古いものであることを確認)
・The din of giant black hole mergers overheard大規模なブラックホール合体からの星間信号
・Early-career scientists rise up(世界中の研究機関における若手科学者の処遇における体系的な変化の推進)
・The dawn of exascale computing(多くの科学分野に前例のない計算能力をもたらすことが期待されるエクサスケール コンピューティングの導入)
が発表され、その他、BREAKDOWNやVIDEOなども注目してほしい。

今回の日本語訳はAIを使ってのもので、正確には以下のサイトで確認してほしい。

https://www.science.org/content/article/breakthrough-of-the-year-2023

また、正式な日本語訳は1月に出るのでしばらく待ってほしい。

ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー(Breakthrough of the Year)は、サイエンス誌がその年の最も発展的な研究に与える賞である。1989年に始まった「今年の分子」(Molecule of the Year)に由来し、『タイム』誌のパーソン・オブ・ザ・イヤーに着想を得て、1998年にBreakthrough of the Yearと改名された。ブレークスルー・オブ・ザ・イヤーは、科学の世界で最も際立った成果の1つと広く認識されている。(Wikipediaより)