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ASCA Academy論文ライティングコース 「メディカルライティング現場編」Vol.2

ASCA Academy 論文ライティングコースの概要について3回にわたりお送りしております。今回は第2回目。
弊社代表の石岡と、メディカルライティング部リーダー、橘の対談形式でご紹介させていただきます。

石岡:
前回のお話では「ASCA Academy論文ライティングコース」の概要についてご紹介しましたが、今回2回目として、橘さんが大学や企業出資のなどでライティングに携わる中で、こうしたらいいのに、という視点から現場で感じていることや、守るべきルールついてお話を聞いてみたいと思います。知っているだけでライティングの品質がずっと良くなるのに、などのアイデアを聞いてみましょう。

左:橘 右:石岡

今までの経験を通し、論文を執筆する上で最も重要なことは何でしょうか?一番大事にすることは何ですか?

橘:アウトラインをしっかり作ることと、使用するデータが固定していることです。
データが固まっていないうちに、IntroとMethodsだけ先に作成を開始してください、というご依頼を受けることも多いのですが、結果が固まらないうちに先にIntroやMethodsを執筆すると、必ず書き直しが発生して、時間もお金も無駄にかかってしまいます。著者が自分で論文を書くときにはそのようなやり方をしても問題ないのかもしれないですが、少なくとも、ライターを起用して論文を執筆するときにはデータがきちんと固定されてから執筆開始するのがよいと思います。
タイムリーな出版を可能にするためにはスケジュールを守って進めることも大事ですね。

医学論文を執筆する際に必ず読んでおかないといけない規定としてICMJEのRecommendations統一投稿規定が挙げられますが、その重要性について教えてください。

橘:ICMJEは、国際医学雑誌編集者会議といって、NEJMやLancet、JAMAなど世界のトップジャーナルの編集者から構成される委員会です。そのICMJEが公開しているRecommendationsは医学論文の執筆と出版についての倫理的な基準や執筆ガイドラインを提供している非常に重要な文書です。論文を書くときには投稿するジャーナルの投稿規定に従って論文を作成しますが、各ジャーナルの投稿規定のベースとなるルールを定めたものと考えていただければいいと思います。近年、出版倫理に関わる規定も細かく、複雑になっていますが、倫理関連のセクションは論文の本質とはかかわらない周辺情報・添え物的に考えている著者の方が多いと感じます。でも、出版界では出版倫理の問題は非常に重く考えられており、倫理的な内容に関する情報が指定通りに含まれていなければ、投稿してすぐ差し戻しを受けますので、事前準備は重要ですし、書き方にもルールがあるので注意が必要ですね。

また、ICMJEを理解するにあたり、理解する必要があるけど、著者として把握する中身と、企業が把握すべきしている内容とでは違いはありますか?

橘:ICMJEのRecommendationsだけでなく、製薬企業が出資する研究の報告については、ICMJEとは別にGood Publication Practice (GPP)2022というガイドラインがあります。GPPの内容には、例えば、著者要件(Authorship)についてなど、ICMJEを参照するよう求められている内容もあるので、ライティングに関わる人はこの2つのガイドラインはどちらも必ず把握しておく必要があります。これに加えて、EQUATOR Networkのガイドラインというものもあります。有名なところではランダム化比較研究の報告の質を高めるガイドラインであるCONSORTなどがありますが、論文の各セクションにどのような情報を含めなければならないかをチェックリストの形式で定めてくれている便利なものです。論文を書くときには自分の論文タイプにあったガイドラインを参照することで、より質の高い論文を書くことができます。

ありがとうございました。
知っているだけでライティングは大きく変わります。時間を最大の価値として、効果的な仕上げを意識してもらえたら嬉しいです。今回の講座でライティングに必要な情報を習得ください。

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