翻訳者・社会人の健康管理の基本は“自分ファースト”! :JTF関西セミナーより
新年1月12日、「自分の心身を自分で守ろう!フリーランス翻訳者のための健康管理術」と題し、「第3回JTF関西セミナー」が開催された。翻訳者と翻訳会社社員のための健康管理術について、熊本大学大学院生命科学研究部 神経精神医学講座 准教授 朴秀賢先生から、女性ホルモンと女性の健康について、一般社団法人SRHR Japan代表(SRHR:Sexual and Reproductive Health and Rights)、NPO法人女性医療ネットワーク副理事長、京都大学医学部附属病院の女性ヘルスケア外来を担当されている池田裕美枝先生から、月経痛、PMS、更年期障害についてのお話をいただいた。
翻訳者などのフリーランスという職務形態の人たちは、深夜も仕事をし、つい無理をして仕事を受けてしまいがちである。体が資本なのに、朝から一日も外に出ない、しゃべらない、健康診断は後回し、などの人も多い傾向にある。産業医でもある朴先生から、翻訳者だけでなく、テレワークが中心になっている会社で働く社員たちも不調を訴えることが多い、と。
外出せず運動量が少ないことに起因する問題がメタボリック症候群、不眠につながり、同じ姿勢でモニターを長時間見続けることに起因する問題として情報機器作業の影響が大きい。朝日を浴びる、体重を増やさない、継続的な運動がまずは重要。
何より、早期発見・治療が不可欠であるがんを放置しないために、がん検診が必要だと医学的視点で様々な検診を紹介下さった。
翻訳者は女性が多いが、女性特有の健康管理も重要である。池田先生からは、女性のホルモンステージを、20~30歳くらいで女性ホルモンレベルはピークを迎え、40歳台を過ぎるとやがて更年期、50歳前後で閉経を迎えるが、閉経が終わって5年もすれば更年期の症状も収まり、電通の調査では60歳台が最も体調がいいのだという。女性は、家族のため、仕事のためにいろいろ無理をして、病院に行くことをためらう人が多いが、プロの意見を聞くことが重要で、向き合う重要性を説いてくださっていた。
朴先生は、研究者として20代で科学誌Scienceの著者の一人として名前が載っていた人並外れた研究者、医師であり、専門医としてだけでなく、産業医としても大人気の先生である。池田先生は、年末の朝のNHKで、「セックスはエロイものでなく、人生を豊かにするもの」とおっしゃっていたユニークで素敵な医師である。誰よりお忙しいお二人なのに、私たちのために、健康で豊かに生きる術、技を紹介、説明くださった。心から感謝を申し伝えたい。
人のために、家族のために、会社のために働くことはだれも幸せにしない。
健康管理は自分のためだけでなく、社会貢献である。
自分のことを後回しにする人はやばい。
自分ファーストになる、犠牲にならない。
ちなみに60台の私はすこぶる体調もいい。早寝早起き、先生方が今日お薦めされたアドバイスを大概実行している。若いころ、無理して我慢して、ろくなことはなかった。
無理してでも頑張るべし、でなく、社会人として、自らの能力を十分に発揮するために、翻訳者の方だけでなく、働く皆に「自分のコンディショニング=健康管理」を実践してほしいと心から願っている。