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【Webinar後記】ChatGPTは医薬翻訳に有用か?答えは?

10月24日、立教大学教授の山田優先生を講師にお招きし、AIKO SciLingualセミナー「ChatGPTは医薬翻訳に有効か?」を開催した。

ChatGPTが機械翻訳と大きく違うところは、

  1. 目標言語に関する質問ができる

  2. 本当の翻訳ができる
    ことだ、というのがキーメッセージ。

「私たちは同じ釜の飯を食った仲だ」という日本語の表現を英語話者の友人に伝えるのに、ある機械翻訳は「We all ate from the same pot」と訳した。表面的には訳されているように見えるが、意味として通じるのだろうか? それをChatGPTに質問すると、

『「私たちは同じ釜の飯を食った仲だ」という表現は、日本語の特有の慣用句であり、直訳すると英語話者にその深い意味が完全には通じない可能性があります。この表現は、単に同じ食事を共有したという意味だけでなく、同じ経験や苦労を共有して、仲間意識や絆を深めたという意味も込められています。』

『従って、「We all ate from the same pot」ではその精神的な側面まで表現しきれないかもしれません。もしこのフレーズを英語で表現するなら、"We've been through thick and thin together" や "We've shared the same hardships" といった表現が近いかもしれません。これらの表現は共に経験や苦労を共有し、絆を深めたことを意味しますので、言いたいことをより正確に伝えられるでしょう』と答えてくれる。

従来のMTと違って、

  • 与えられた原文を訳すだけではなく、分析できる

  • 翻訳の目的、対象読者、ジャンル等を設定・共有できる
    のが強み。

    つまり翻訳の「メタ言語」的な部分である、モダリティ(言い方、流暢性)を指定すれば、読者対象、目的などを反映した翻訳をアウトプットしてくれるし、曖昧な係り受けや用語も使い分けて訳出してくれる。

こんなプロンプトを書けば翻訳会社は不要になるかも。
{次の英語の文書を日本語に翻訳するために、適切な指示を考えています。翻訳の目的と対象読者、分野、文書タイプを指定する必要があります。以下の英語を読んで、[目的]、[対象読者]、[分野]、[文書タイプ]を決定してください。}

マーケティング文書はプロンプトを入れることでニーズに合った英語に仕上がるし、プレスも一般的な内容なら適切な英語が一瞬で上がってくる。
残念ながら、申請資料に関しては用語の制約がありすぎて、さすがのChatGPTも今の状態では医薬にアダプテーションしたMTに軍配が上がる

また、日英に比べて英日はまだまだということである。
会社が使えというけどまだまだ質的には低く使えない。人間が妥協すべきか?という質問もあった。
山田先生の回答は、妥協すべきではないが、そもそも日英は妥協しなくてもいいレベルかも、と。

ChatGPTの精度はバージョンによって差があるのか、と質問については、即「Yes」。
英語のデータがあまりに膨大で、かつ賢すぎて、日本語含む多言語が全く追いついていない、らしい。

医薬翻訳に使えるか?という問いへの答えは...

答えは、Yes、いや、文書によっては使えない?
しかし効果的にプロンプトを駆使することで、多くの日英文書の翻訳の武器になる。
使うべきである。学習にも使える。

これからが楽しみなChatGPTの進化だ。

(文:石岡)

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