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今年もイグ・ノーベル賞は日本人、それもCaféで登壇してくださった武部先生!

ノーベル賞のパロディーで、ユニークな研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の受賞者が発表され、ブタなどの動物に「お尻から呼吸する能力があることを発見した」として、東京医科歯科大学と大阪大学で教授を務める武部貴則先生らの研究チームが「生理学賞」を受賞。日本人の受賞は18年連続だそう。https://improbable.com/ig/archive/2024-ceremony/

研究チームは、肺による呼吸が難しくなったブタなどの動物の腸に、高い濃度の酸素を含んだ特殊な液体をお尻から送り込む実験を行った結果、どの動物も血液中の酸素が大幅に増え、ブタでは一定の条件のもとで、呼吸不全の症状が改善することが確認できたという。
今後、人工呼吸器の使用が難しい患者さんへの治療につながるかもしれない素晴らしい“未来を変える”研究成果である。

きっかけはドジョウだという。ドジョウは酸素が少ない環境ではえらだけでなく腸でも呼吸できる。それなら哺乳類でも腸から酸素を吸収できるものがいるのではないかと考えたそうである。

イグ・ノーベル賞の哲学は『人を笑わせ、考えさせる研究』である。くすっと笑わせるだけでなく、誰もが思いつかなった発想が新しい発見につながる。毎年1万件以上の推薦が舞い込むらしいが、今回の研究は選ばれるにふさわしい。

この武部先生は、2020年5月、コロナ禍で始めた第1回Science Caféで登壇くださった先生である。再生医療の研究されていた武部先生の「オルガノイド(ミニ臓器)のデザイン体系」についてのReview論文がScience2019年に掲載され、その内容についてのCaféである。「オルガノイドとは、人為的に創出されたヒト器官に近い構造や機能を持ち合わせた三次元組織体であり、将来的にこの技術は、疾患・創薬・移植研究等への応用を拓く革新技術となることが期待されている」と。このCaféのタイトルは、「セレンディピティ」と「ぶれ」と「ずれ」。医学的発見は予期せぬ偶然(セレンディピティ)としてもたらされることが多いと聞き、研究に興味が湧いて今に至っている。「ぶれ」と「ずれ」の概念の重要性、迷ったらより困難な道へ、一歩踏み出してみる、そんなメッセージを発信いただいた。
Café第一号に躊躇なくお引き受け下さった。
そんな先生だからこその今回の受賞である。
https://www.asca-co.com/blog/science/entry20200518154017.html

また、「Scienceに載った日本人研究者2019」にも論文の紹介とコラム記事を書いてくださっている。https://www.asca-co.com/company/pdf_japanese_scientists/Science_2019.pdf
48~49頁を確認してほしい。

その他、外国人研究者として素晴らしい賞を受賞され、今年の2月にScienceのSponsored Featureに紹介されている。
Celebrating the immigrant scientist: Meet the 2024 Vilcek Foundation Prize winners
https://www.science.org/content/article/celebrating-immigrant-scientist-meet-2024-vilcek-foundation-prize-winners

3月には「臓器移植への可能性が高まるオルガノイドにつぃて」として武部 貴則先生へのインタビュー記事がScienceのSponsored Featureに掲載。
Organoids: Today’s research tool, tomorrow’s organ transplant solution
https://www.science.org/content/article/organoids-todays-research-tool-tomorrows-organ-transplant-solution

武部先生の専門は「再生医学」である。26歳でiPS細胞から肝臓の機能を持つ細胞のかたまりを作ることに初めて成功し、その後も画期的成果を相次ぎ発表されている。
今後の先生の活躍に目が離せない。