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Science Update 24 Feb, 2023

日本人著者からの日本語タイトルとコメントを紹介します。

小惑星リュウグウから持ち帰られたサンプル、イヴナ型炭素質隕石に類似
Samples returned from the asteroid Ryugu are similar to Ivuna-type carbonaceous meteorites

今回の研究により、C型小惑星が炭素質隕石からできているという従来の予想が裏付けられました。また、はやぶさ2の観測で不思議だった結果の原因もわかりました。サンプルは、人類が手にしている天然試料の中で太陽系の平均化学組成を一番正確にかつ精密に表しているものです。

北海道大学理学院 自然史科学専攻
圦本尚義

https://www.science.org/doi/10.1126/science.abn7850


炭素質小惑星リュウグウの形成と進化:リターンサンプルから得た証拠
Formation and evolution of carbonaceous asteroid Ryugu: Direct evidence from returned samples

リュウグウ回収サンプルの元素組成、鉱物組成、物性(硬さ、密度、熱伝導度など)を明らかにしました。小惑星リュウグウは太陽系外縁の-200度以下の低温領域で形成され、天体の中で水(鉱物に閉じ込められた液体の水を発見!)との化学反応で構成物質が多様に進化していったことを示しました。

東北大学大学院理学研究科 地学専攻
中村智樹

https://www.science.org/doi/10.1126/science.abn8671


小惑星リュウグウのサンプル中の希ガスと窒素成分は、その揮発成分の供給源と最近の表層の進化を伝える
Noble gases and nitrogen in samples of asteroid Ryugu record its volatile sources and recent surface evolution

希ガスや窒素の同位体組成は、小惑星物質の材料や進化過程を色濃く反映しています。リュウグウの材料物質には先太陽系起源のガスが含まれていたこと、現在の近地球軌道に約500万年前に移動してきたことなどが判明しました。

九州大学大学院理学研究院 地球惑星科学部門
岡﨑隆司

https://www.science.org/doi/10.1126/science.abo0431


炭素質小惑星リュウグウ(162173)のサンプル中の可溶性有機分子
Soluble organic molecules in samples of the carbonaceous asteroid (162173) Ryugu

炭素質小惑星の表面には多くの有機分子が存在することが明らかになりました。超真空下で太陽からの紫外線や高エネルギー宇宙線に晒されても鉱物などに守られているようです。将来、人類が地球を出たときに炭素資源として利用できるかもしれません。

九州大学大学院理学研究院 地球惑星科学部門
奈良岡 浩

https://www.science.org/doi/10.1126/science.abn9033


Macromolecular organic matter in samples of the asteroid (162173) Ryugu
小惑星リュウグウ(162173)サンプル中の固体有機物

今回の研究では、探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの表層試料に含まれる固体有機物の化学組成・同位体組成・形態を分析し、炭素質小惑星の有機物と始原的な炭素質隕石の有機物との直接的な関係を初めて証明しました。

広島大学大学院 先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム
薮田 ひかる

https://www.science.org/doi/10.1126/science.abn9057

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